わかりにくいが、すきなもの
こうみえて、祭り好き。
こうみえて、熱っぽい。
それは、物心がつくかつかないかのころ。
その頃住んでいた町では、盆踊りが地域の神社や広場で場所を変えながら、約2ヶ月ほど続く。
盆踊りの振りを幼稚園で習った記憶すらないが、
私は、幼稚園から戻ると母にせがんで、浴衣を着せてもらっていた。
仕事から帰ってくる父を今か今かと待ち、
玄関で出迎えた。
背広から家着に着替えるや否や、父は私を自転車の後ろにのせ、
夏の夕暮れ、祭囃子の聞こえる方向に自転車を走らせた。
父の自転車の後ろに乗った記憶はかすかに持っている。
父曰く、
自転車の後ろから、「(音が)あっちから聞こえる、あっちへ行け〜」と幼い娘に命令されていた、と。
そして、父と一緒に祭の輪に加わり踊っていたのかと言えば、そうではないらしく、
父は私が1人で踊るのを遠くで見ていて、終わるとまた自転車の後ろにのせて帰ってきたようだ。
物怖じしないというよりは、人見知りな子だったと思うが、
盆踊りの
輪の中に入って踊ることが昔は出来たらしい。
祭囃子が聞こえると、とにかく行ってみたいと思うのも、
祭みたいな空気感の場所に惹かれてしまうのも、
この幼い頃の原体験からきているのではないか、と夏が来ると思うのである。
すでに夏は過ぎ、
スーパーにも秋の果物が並んでいるが、
祭のにおいを嗅ぎ付け、これからも津々浦々でかけてみたいと思う。